ベルリン市の馬蹄形住宅があるブリッツ地区にこのジードルングもあります。ブッシュローゼンプラッツ(Buschrosenplatz)、フランツ・ケルナー通り(Franz-Kornerstr.)、ルンギウス通り(Rungiusstrase)に囲まれた場所にこのジードルングは位置します。造園建築家レバーレヒト・ミッゲ(Leberrecht Migge)が協力をしています。発注者、所有者共にイデアール(Ideal)という建築共同組合です。
GAHAGの主任技師としてブルーノ・タウトは建築協同組合ブリッツ(Britz)のイデアール(IDEAL)の建築計画に長年従事していました。タウトは建築協同組合との緊密な共同作業により“新しいベルリンの建築として最も近代的で、最も愛すべき作品となった”と述べています。1929年から1930年にわたり、3期に分けて350戸の集合住宅と10戸の独立住宅が建設されました。集合住宅は南北軸に計画されました。タウトが従来設計してきた集合住宅は、近代的ではあるが、実質的で、飾り気の無いものが多かったのです。このイデアールでは古風で、南ドイツ風の雰囲気を醸し出すものでありました。外壁は吹きつけ仕上げを施し、屋根は当時としては珍しく、陸屋根です。また当時としては窓面積も大きく取られています。厨房器具は当時既にシュッテ・リホツキー(Schutte Lihotzky)社により開発されたシステムキッチンが使用されていました。

Baugenossenshaft ・IDEAL(建築協同組合イデアール)との文字がある外壁の集合住宅です。

住宅住棟間の通路と両側に庭です。各戸の庭は低い仕切りで仕切られています。この方法はオンケルトムズヒュッテ等と同じです。

いかにも明るい感じのバルコニー、各住戸の庭、そしてタウトが大切にした緑です。

住戸の庭です。各住人がいかにも生活を楽しんでいる雰囲気があります。