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2009年12月28日

イデアールジードルング“Siedlung Ideal”

イデアールジードルング“Siedlung Ideal”

ベルリン市の馬蹄形住宅があるブリッツ地区にこのジードルングもあります。ブッシュローゼンプラッツ(Buschrosenplatz)、フランツ・ケルナー通り(Franz-Kornerstr.)、ルンギウス通り(Rungiusstrase)に囲まれた場所にこのジードルングは位置します。造園建築家レバーレヒト・ミッゲ(Leberrecht Migge)が協力をしています。発注者、所有者共にイデアール(Ideal)という建築共同組合です。

GAHAGの主任技師としてブルーノ・タウトは建築協同組合ブリッツ(Britz)のイデアール(IDEAL)の建築計画に長年従事していました。タウトは建築協同組合との緊密な共同作業により“新しいベルリンの建築として最も近代的で、最も愛すべき作品となった”と述べています。1929年から1930年にわたり、3期に分けて350戸の集合住宅と10戸の独立住宅が建設されました。集合住宅は南北軸に計画されました。タウトが従来設計してきた集合住宅は、近代的ではあるが、実質的で、飾り気の無いものが多かったのです。このイデアールでは古風で、南ドイツ風の雰囲気を醸し出すものでありました。外壁は吹きつけ仕上げを施し、屋根は当時としては珍しく、陸屋根です。また当時としては窓面積も大きく取られています。厨房器具は当時既にシュッテ・リホツキー(Schutte Lihotzky)社により開発されたシステムキッチンが使用されていました。

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Baugenossenshaft ・IDEAL(建築協同組合イデアール)との文字がある外壁の集合住宅です。

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住宅住棟間の通路と両側に庭です。各戸の庭は低い仕切りで仕切られています。この方法はオンケルトムズヒュッテ等と同じです。

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いかにも明るい感じのバルコニー、各住戸の庭、そしてタウトが大切にした緑です。

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住戸の庭です。各住人がいかにも生活を楽しんでいる雰囲気があります。
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2009年12月21日

アッチラヘーエ集合住宅(Wohnanlage Attilahohe)

ベルリン市テンペルホーフ地区にある集合住宅群です。これはブルーノ・タウトの「ベルリン貯蓄・建築協会」との最後の共同プロジェクトとなりました。アッチラとはフン族の王の名前で、たまたまこの住宅団地がアッチラ通り(Attilastr.)にあることからこの名前が付けられました。ヘーエ(Hohe)とは高台の意味を持ちます。この計画にはタウトと共に設計事務所を経営していたフランツ・ホフマン(Franz Hoffmann)がこの設計に協力しています。発注者はベルリン貯蓄建築協会(berliner Spar-und Bauverein e GmbH)で所有者は1892年のベルリン建築住宅協同組合(Berliner Bau-und Wohnungsgenossenschaft von 1892 e.G.)です。118戸の集合住宅よりなります。1928年に計画が始まりました。

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タンクレド通り(Tankredstr.)の集合住宅です。住棟に5本の煙突を兼ねた柱が外部についています。

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写-1と同じ建物を裏側から見たものです。タウトの作品に良く見られるような何の飾りもない、単調な仕上げとなっています。

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ジードルング内部の庭です。住宅を高層化する代わりに広い内部の庭を設け、住人の憩いの場所としました。従来ベルリンにあった集合住宅にはこのような配慮が無く、タウトの住まい手の立場に立って設計をするという思いやりが込められています。

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住棟を通る自動車道です。自ら自動車を運転したタウトは1920年代に既に自動車の普及を見越し、自動車がジードルング内に入ることを予測し、このような道を設けています。

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住棟の赤い塗装の扉です。腰壁にはレンガを積み、ここにアクセントを与えました。ここ錠前は後に交換されたもので、タウトの時代のものではありません。
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2009年12月14日

ブルーノ・タウトが設計したベルリン市の“フライエ・ショレ“ジードルング”

このジードルングはベルリン市テーゲル地区のヴァイデマンスルスターダム(Waidmannsluster Damm)を中心に拡がっています。発注者はフライエ・ショレ・テーゲル(Freie Scholle,Tegel)で、1924年に計画が始まり、ブルーノ・タウトが担当しました。541の住戸があり、45%にあたる242住戸は集合住宅、55%にあたる229戸は独立住宅です。この地区は旧西ベルリンであったこともあり、明るい感じがします。修復や補修の工事も行き届いているように見えました。


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集合住宅の一部に肉屋とソーセージ屋を取り込んでいます。店の外には椅子も並び、焼いたソーセージを肴にビールを飲みつつジードルングの住民たちが談笑を行うのでしょう。訪問したのは10月の半ばでした。ベルリンの10月というとそろそろ寒気を伴った北風が吹き出します。店の前にはテーブルと椅子が並べられてはいましたが、流石にそこでビールジョッキーを傾ける人はいませんでした。

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樹木を多く配置した集合住宅です。縦方向にレンガを模擬したタイルで線を入れ、アクセントとしています。外壁の塗装は明るい黄色です。玄関には赤など目立つ色を用いて、集合住宅から来る単調さを打ち消していました。

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4世帯住宅です。この左に”ショレの小店舗“と書いた食料と雑貨を扱う店があり、配達も行うと書いてありました。ドイツで食料品などの配達を行う店は稀で、このような店舗をジードルングの中に置くことで、ジードルングでの生活に利便性を与えたのでしょう。

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赤と黒で塗装をしたこのジードルングの住宅の玄関です。この玄関が並ぶにはテーゲルノ“フライエ・ショレ”のうち、休養通り(Erholungsweg)にあります。隣家との仕切りのレンガ壁に「歴史的記念建築物保存」のシールが見られました。

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海老茶色に塗装された集合住宅です。玄関には冬の風除け用にかつ、暗くはならないようにと、ガラスの仕切りを設けています。隣家との仕切りにはレンガ壁を設けています。
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2009年12月07日

ブルーノ・タウトが設計した労働者建築共同組合“パラダイス”のジードルング

ベルリン市ボーンスドルフ(Bohnsdorf)地区に労働者建築協同組合”パラダイス“が建設したもので、所有者も労働者建築協同組合”パラダイス“です。約280戸の住宅が建ち、2家族住宅と集合住宅が混在しています。1期工事は1925〜1926年に行なわれ、二期工事は1929年から1930年の間に行なわれました。1995年から1996年にかけて修復工事が行なわれました。

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ピチェナー通り(Pitschenerstr.)とレシュニッアー通り(Leschnizerstr.)の交差する地点に建つ4家族住宅です。切り妻屋根でレンガのように見えるタイルで横に帯を作り、アクセントとしています。昔は暖房にカッヘルオーフェンが使用されていたのでしょう、煙突が4本残っていました。

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レシュニッアー通り(Leschnizerstr.)の4家族住宅です。10月の半ばで外壁の蔦が見事に紅葉していました。切妻屋根に採光用の天窓が設けられています。

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2家族住宅です。切り妻屋根で、やはりカッヘルオーフェンで当初は暖房をしていたのでしょう、煙突が残っていました。またレンガのように見えるタイルで横の帯を作り、住宅にアクセントを与えています。小さめな住宅でありながら住宅玄関へのアプローチは工夫がなされています。

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海老茶色に彩色された集合住宅がありました。屋根はほぼ陸屋根に近い状態です。玄関の扉を見ればこれはブルーノ・タウトの設計であるとわかります。他にあるタウトの作品と同じ特別な色彩が施されていました。
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直交する集合住宅です。この直交部分にバルコニーが設けられています。直交する住宅は一方は黄色に、一方は海老茶色に彩色されていました。


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